大判例

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福島地方裁判所 昭和27年(行モ)1号 決定

本件申立の理由は、申立人は被申立人議会の議員且つ議長であつたが、被申立人議会は昭和二十七年一月十日の議会において、申立人を除名する旨の議決をし、右処分は翌十一日申立人に通知された。その理由は、申立人が、一部議員は町当局と馴れ合い町民多数の生活をじうりんせんとしていると誹謗した文書を、議長の名を用いて町内各所に貼付したことは、議会の品位を傷けるというのである。しかしながら申立人の右行為は昭和二十六年九月ごろにおける議会外の行為であるからこれに対しては懲罰を科し得ないのみならず、本件除名処分は、申立人が被申立人を相手どり当裁判所に提起してある昭和二十六年(行)第一五号懲罰処分無効確認請求事件を有利に展開すべく計画されたもので地方自治法及び被申立人議会々議規則を濫用した処分である。そこで申立人は右除名処分取消の本訴を提起したが、被申立人議会は新に議長を選挙しようとしているからそうなれば申立人が後日本案勝訴の判決を得ても再び議長としての地位を回復できるかは保し難い。右の事情は、その処分の執行により生ずべき償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合に該当するから、本件除名処分の執行停止を求めるというのである。

そこで考えてみるに、本件除名処分取消の本訴が当裁判所に提起されたことは当裁判所に顕著なところであり、申立人提出の疎明資料によれば被申立人議会が申立人に対し申立人主張の日にその主張の理由によりその主張のような処分をしたことが認められる。しかしながら、行政事件訴訟特例法第十条が、行政処分の執行を停止するには処分の執行により生ずべき償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があると認められることを要し、右事情が存しても執行の停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞のあるとき及び内閣総理大臣が異議をのべたときはこの限りでない旨規定していることから窺われるように、執行停止の要件は極めて厳格である上に、地方自治法第百三十五条第二項は除名の議決には議会の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならないと規定して特に手続の慎重を期している以上、右手続を経て成立した除名処分の執行は、相当の納得すべき事情が存在しない限り、停止すべきものではないと考える。本件において申立人の行為が、果して議会の品位を傷けたものとして除名に値するかどうかは本案を俟つて決せらるべき問題であり、本件除名の議決も、出席議員二十二名のうち十七名の同意により成立していることからみて、申立人の主張並びに疎明によつては未だ執行を停止すべき理由があるものとは認め難い。

よつて申立人の申立は却下すべきものとし、申立費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十五条を各適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 斉藤規矩三 菅家要 福間佐昭)

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